表現・・・・
音楽、踊り、絵画、詩、演劇、声、音、身振り、描く、話す、書く・・・、地球のどんな生き物よりも豊かで、多様な表現を獲得してきた生き物である私たちは、なぜおおくの表現を必要とするようになったのか。そんな問いが生まれると、遥か彼方、古の記憶にまで思いを巡らせてゆくことになりそうです。
即興表現・・・・
即興表現について舞踊家の岩下徹さんは、「生まれたことが即興ならば、生きることもまた即興でしょう。では何故その上、表現としての即興を望むのでしょうか?それは、何よりも〈交感〉を求めているからです。」と語り、
即興演奏家である向井千惠さんは、「プロのアーティストでなくても表現しようという意志とその場の波動を感じる感受性があれば十分表現者たりうる」、「特別に訓練されたテクニックをもたずとも、その場に身を任すことによって力を得、それを増幅させ解き放つエネルギーを誰もが持っているということをワークショップを通し私は学ぶことが出来た。」と語ります。
わたしが表現を一番必要としているとき、わたしは一番不器用な姿で一人世界に立ち、そして大変無口です。表現する術をたくさん持つ生き物であるはずのわたしの現実は、表現の世界からはるか遠い。そんな自分と対峙しなければならない時を幾度と体験しながらも、「場を信じる」ことができたなら、人は誰でも自分の表現に出逢うことができ、他者に出逢うことができると思うようになったのは、岩下徹さんや、向井千惠さんのような素晴らしい表現者との出会いがあったからだと言えます。音や声、からだを自在に操ることのできるわたしではなく、今のわたしから動き出すものを感じ、楽しむことができたら幸いです。